| ●読書・文化 |
| 今話題の図書から、意外な名著?まで。教育を中心に様々なジャンルの本を紹介。是非あなたの書籍選びの参考にしてください。 |
|
| ▼2002年1月31日掲載 |
「ひびきの村 シュタイナー教育の模擬授業」
(ほんの木 大村祐子&ひびきの村著) |
「学び」のイメージは、人によって異なるものだ。記憶をすることが学びの中心だという人もいれば、体験と活動こそ学びの基本だという人もいる。この「学び」に対するイメージの差は、どこから生じてくるのだろうか。個人個人の学習体験の差からだろうか、それとも価値観の差からであろうか。だが、「学び」のイメージは最終的に、人それぞれの人間観によって方向付けられるのではないか。人間は優しい心を持つことが大切なのか、それともお金持ちになることが大切なのか、あるいは名誉と尊敬を得ることが大切なのか。生きる目的をどこに見出し、どんな人間になることを人生の目標にするかで、「学び」のイメージは違ったものになってくる。「経済的な勝者」を目指すのであれば、学歴戦争を勝ち抜いて一流大学を目指し、一流企業に勤めることが人生の目的となる。学歴戦争を勝ち抜くためには、徹底した知識の詰め込みが必要になる。こういう人生観、人間観を持つ人にとって、「学び」とは我利勉に他ならない。
ところで、「シュタイナー教育」という教育理念・手法を聞いたことはないだろうか。教育者であり、思想家でもあったルドルフ・シュタイナーの理念を実践する教育が、「シュタイナー教育」である。
「ひびきの村 シュタイナー教育の模擬授業」は、北海道の伊達市でシュタイナー教育を実践している著者が、この教育思想の素晴らしさを多くの人に知ってもらうために書かれた本だ。この本の中に、シュタイナーの思想を解説するような文章はほとんど含まれていない。大人達がシュタイナー教育を体験しながら、著者と対話を通してその精神の真髄に触れていく。
筆者もシュタイナー教育のことは良くわからないが、この思想では、人間の本質は自然界の様に多様で複雑であり、感性や知性、意志や健康が有機的に結びついた総合体と捉えているようだ。したがって、子ども達を育てていくには、その多様性を伸ばしていく多様な環境と刺激が必要となる。子どもは自然と共に成長をしていく性質を持っており、豊かな学習環境の中で育つことによって、主体性と人間性を獲得していくということだ。目にみえる物事だけに価値があるのではなく、意志や感情といった形に現れないものにも重い価値を置く。非常にスピリチュアル(精神的)な世界までを視野に入れた全人教育が、シュタイナー教育の真髄らしい。
教育には様々なアプローチ方法があって良い。人間は、決まった形の鋳型で生産される品物とは訳が違う。個性を伸ばすには、個性を伸ばす教育と環境が用意されていなければならないのだ。
最近の教育界でも知・情・意を高め、伸ばす教育が必要とされている。シュタイナー教育の思想と実践に触れることが、教育のパラダイムシフト(視座の転換)を図る一つのきっかけになるかも知れない。 〈M〉 (227ページ/定価2200円税別) |
| 過去の掲載 |
| ■「葉隠処世観」(邑心文庫刊/岩上 進著) |
(2002年1月15日掲載) |
■「チーズはどこへ消えた?」扶桑社/スペンサ−・ジョンソン
「バターはどこへ溶けた?」道出版/ディーン・リップルウッド |
(2002年12月20日掲載) |
■「総合的な学習の時間〜アプローチから実践へ〜」
全国教育新聞社/嶋野道弘著 |
(2001年12月5日掲載) |
| ■「論語新釈」(講談社学術文庫・宇野哲人著) |
(2001年11月16日掲載) |
| ■「現代教師論」(八千代出版 浦野東洋一他編) |
(2001年11月7日掲載) |
■ 「気のきいた言葉の事典」
(PHP文庫/日本語表現研究会著) |
(2001年10月22日掲載) |
■「どうせ自分なんてと、つぶやく君に」
(開隆堂刊・伊東秀子/藤井昌子編著) |
(2001年10月5日掲載) |
| ■「『トップを切る科学者たち』チクマ秀版」水木 揚著 |
(2001年9月19日掲載) |
| ■「よみがえる子どもたち」(声の教育社刊/武田利幸著) |
(2001年9月6日掲載) |
■「日本連盟教育規定付…施行細則 他」
( 財団法人ボーイスカウト日本連盟発行) |
(2001年8月21日掲載) |
| ■「サバイバル・ノート」 (集英社刊 西山
明著) |
(2001年8月8日掲載) |
| ■「ガリヴァー旅行記」 岩波書店刊 スウィフト著/平井正穂訳 |
(2001年7月16日掲載) |
| ■「パソコン 知ったか辞典」 NTT出版 下島 朗著 |
(2001年6月22日掲載) |
■足るを知る経済―仏教思想で創る二十一世紀と日本―」
(毎日新聞社刊 安原和雄著) |
(2001年6月12日掲載) |
■「話を聞かない男 地図が読めない女」
主婦の友社刊 アラン・ピ−ズ&バーバラ・ピーズ著(藤井留美訳) |
(2001年5月21日掲載) |
■「私の教育観―日本の教育を再生させるために―」
学研『教育ジャーナル』編集部編 |
(2001年5月7日掲載) |
| ■「『英語達人列伝』中公新書・斎藤兆史著」 |
(2001年4月11日掲載) |
| ■「『考える力』をつける本」三笠書房刊 轡田隆史著 |
(2001年3月13日掲載) |
| ■学級再生のコツ・学習研究社刊 諸富祥彦編著 |
(2001年2月5日掲載) |
| ■「福祉の思想」 NHKブックス 糸賀一雄 著 |
(2000年12月20日掲載) |
| ■雑誌「歴史街道」特集 宮本武蔵平成12年9月号
PHP研究所刊 |
(2000年11月27日掲載) |
| ■「青空の指きり」 河出書房新刊社 恩田皓充 著 |
(2000年10月30日掲載) |
| ■「サムライの娘」 文:佐々木佳子 絵:曽田文子 |
(2000年9月22日掲載) |
| ■「歴史教育を考える」PHP新書 坂本多加男
著 |
(2000年9月5日掲載) |
| ■「自分を発見するワークペーパー32(学事出版)」 |
(2000年8月25日掲載) |
| ■ミクロファンタスティック写真集考古堂書店刊 西永 奨編 |
(2000年8月9日掲載) |
|
Copyright(c)2000 The 教育情報新聞 CO.LTD の著作権は全国教育新聞に帰属します。
記事・画像等を無断で転載することはできません。
このページへのご意見・ご要望は kyoiku@sainokuni.ne.jp ▲トップページ |