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宮沢賢治、中国に翔る想い
故郷と時代に根差しながら,寓話的でコスモポリタンな魅力に満ちた賢治の作品世界.そこには意外なほど中国への言及がある.訪れたことのない中国のイメージが,『西遊記』『唐詩選』の描写・モチーフとの比較検証から浮び上がるとき,賢治の創作の源泉や「求道」精神を私たちはあらためて見つめることになろう.中国人研究者ならではの卓抜な作家論.

著 者:王 敏
出版:岩波書店
 

目 次

プロローグ 宮沢賢治と中国――「心象スケッチ」の根源を探る――
1 日本の心を教えられて
2 宮沢賢治像の未探求分野へ
3 賢治の中国像の源流

第一部 宮沢賢治の『西遊記』――作品に隠した西遊の手記――
1 賢治版『西遊記』の誕生
  『西遊記』との接点/『西遊記』を演義する
2 「西の方へ歩きはじめた」
    西に降りそそぎたる黄なる光よ/西域諸国に於ける永い夢
3 西への先人,「師父」
    報恩寺と尾崎文英/願教寺と島地大等/亀茲国と鳩摩羅什
4 玄奘への共鳴
    玄奘との旅/野の師父への思慕
5 悟空の像と重ねて
    「行者火渡る」/「光の棒」と「如意棒」/「大循環」と「斗雲」/「黄金色の目をした,顔のまっかな山男」のモデル/丙申年生まれの猿縁
6 「いとつゝましく歩み去る」
  【資料】

第二部 宮沢賢治と『唐詩選』
――『北守将軍と三人兄弟の医者』を中心に――
1 漢詩との出会い
2 北守将軍のモデル
    硬直人間/灰色の植物人間/「明鏡白髪」の移植
3 人名・地名の由来
    「ソンバーユー」という将軍の名/「ラユー」という町の名/三人兄弟の名前
4 北守将軍の戦歴調査から
    凱旋の実相/「大将たちの大将」を辞退する理由/「ス山」は何処か/北守将軍は仙人になったか
5 白馬の原形
    杜甫の詩に書かれた馬/玄奘の白馬/岩手の馬
6 「蓬」と「雁」に秘めたもの
    「蓬」の行き来/「雁」が,なぜ「干せてたびたび落ちた」のか
7 詩心がとらえた中国を探るために
  【資料】

エピローグ 宮沢賢治と私――「永久の未完成これ完成である」――
1 テクストについて
2 混成型人間像からの啓示

  主な引用・参考文献一覧




<著者紹介>

法政大学国際日本学研究所専任所員・教授、同済大学(上海)客員教授
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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