私たちは、子どもたちと『自分捜しの旅』を共にして、それを支える仲間でありたい、そう思っています。私たちの支えがその子の生きやすさにつながり、素敵な自分探しの旅の手伝いができるならばどんなに素晴らしいでしょう。
ここでは、この旅を共にするにあたって大切にしたいことについて、いくつかまとめてみました。
A行動は子どもからのメッセージ 子どもからのメッセージは、言葉という発信だけを見るのではなく、言葉を含めた「行動」すべての中からとらえていくことが大切です。 すべての「行動」は、その子どものまわりにある環境との相互作用によって成り立っています。つまり、その「行動」の前後関係や状況、生い立ち等を含めて見た時に、初めて子どもからのメッセージが見えてくるのです。私たちには、その「行動」の意味を読み取る力が求められています。 私たちは、旅を共にする仲間として、子どもからのメッセージを的確にうけとれる人になりたいと思っています。
怖がりのゆかちゃんがすべり台に向かっていきました。今まで近づけなかったすべり台に自分から少しでも近づけたことは、興味がもてたということです。私たちはそこを見逃してはなりません。そして、さらに遊びを拡げるという視点から、そこでも誘いかけをします。ゆかちゃんの場合には新しい活動に入る時の行動のパターンなども考え合わせてせまる必要がありました。ゆかちゃんのように、一度は拒否の態度をとることを自分の決まりとして持っている子どもの場合には、強引な誘いかけも必要なことがあるのです。食わず嫌いのような場合もあるわけです。このような支援を行う場合は、あくまでも自分から興味を示し始めた様子があるとか、子どもを“丸ごと”とらえて、その先を見通した上で行なうことが前提です。ゆかちゃんは、今では信じられないほどのチャレンジャーです。高さのあるすべり台にも自分で取り組めるようになっただけでなく、このことがきっかけで新しいものを拒否する気持ちが減り、楽しめるものが増えてきました。
食事の指導については、食べるようになるまで待てばいい、その子が嫌がるなら食べなくていい、という考えもあるでしょう。しかし、中には自分でつくった決まりごとにしばられてしまって、決して嫌ではないのにそのことにとらわれてしまい自分だけでは変えることができないという子どももいるのです。のりゆきくんはそういう子どもの一人でした。自分で「家以外では食事をしない」という決まりを作ってしまって、外では食事をしないのです。
のりゆきくんの場合は、学校でさまざまな取り組みをおこなってきました。そして、勧めると食べるようにはなってきましたが、その時に必ずその教員を「たたく」という行動がでてきたのです。この「たたく」という行動は、それ自体を問題としてとらえてしまうと、その問題行動の解消が課題にされてしまいがちです。また、単に拒否の表現だと考えて放ってしまえばそれで終わりです。しかし、私たちは、のりゆきくんにとって「たたく」ということが「食べる」活動をする上で自分を納得させるために必要な行動であるととらえました。それを受け入れた時、1つ食べると1回たたくという行動から、2つ食べて1回たたくというように、だんだんと食べるものが増えて、たたくことが減りました。そして、いつの間にかたたくという行動が消え、食べることが喜びになりました。以前は外で食事ができないことから、下校後の学童保育などに通えない、遠出の外出ができないなど、本人はもちろん家族にとっても生活の幅が広がらないという弊害がありました。しかし、それを克服できたことで、本人はもちろん家族の生活も豊かになっていったのです。同時に情緒の安定にも多大な影響がありました。
この例は、教員の「食べる時にたたくのは、自分への納得のため」「食事の安定が本人にとって、最大の課題であり、今後の生活を変えていくものとなる」という二つの判断が見事に的中したものです。子どもたち自身が自分の殻を破ることは難しくても、その子どもからのメッセージを受けとめて、一緒に取り組んでいく。教員にはそんな見極めが求められているのです。 日常の何気ない子どもたちの行動には、多様なメッセージが含まれています。その行動を教員がいつも同じ見方や教員側の価値観で捉えていたのでは、その中にある真実に気づきません。例えば、子どもが発する「イヤ!」という言葉をひとつとってみても、本来の意味である拒否の言葉としてだけではなく、「注目してほしい」あるいは「何かを要求したい」という隠されたメッセージが込められていることもあるのです。 私たちは子どもそれぞれがもつ価値観、行動の意味に気づき、見極め、貴重なメッセージを受け取れる仲間でありたいと思っています。
以下続く
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