今まで、コンピュータが子どもの教育にどう影響しているのか様々な角度から触れてきました。
今回はコンピュータの中でもその活用頻度については最も高いと考えられるインターネットに着目し、子どもの教育に有益なものなのかどうかを考えていきたいと思います。
高校生までの子供がいるインターネット・ユーザーに行ったアンケート(2003年1月実施。(株)UFJ総合研究所、インターネットコム(株)、(株)インフォプラントによる調査)では、「インターネットが教育に有効である」と考えているユーザーは約7割にも上るようです。
役に立つと考えている理由として、「(関心があることについて)自分でいろいろ調べる機会が与えられるから」という意見が8割を占めており、次いで「様々な事柄に興味・関心を持つようになるから」、「(インターネットを利用することを通じて)PC等の情報機器のスキルが高まるから」、「(e-ラーニングのコンテンツなどを使って)学校では教えられない様々な分野の学習ができるから」、「(e-ラーニングのコンテンツなどを使って)好きな時間に学習できるから」といった意見が続いております。全般としてインターネットの特性である、手軽に幅広く情報収集ができるといった利便性を支持しているようです。
それに対し、「有効だとは思わない」と回答した約3割のユーザーにその理由を尋ねたところ、「インターネットにのめりこんで、他の生活に悪影響を及ぼすから」とか、「他にもっと有効な手段があるから」、「(教育に)有効なコンテンツがないから」といったように、インターネットばかりに傾倒してしまうことに対する危惧を持っているようです。
また、今後の子どもの教育におけるインターネットの活用において必要な事柄を尋ねたところ、「教育等の関連コンテンツ・サービスの拡充」、「学校教育など、リアルの教育制度との連動」、「有害コンテンツ(アダルトなど)を排除するシステム」がそれぞれ6割以上の支持があり、それに続いて「通信料の低減」や「通信スピードの向上」といった項目が挙げられています。 こういったことからインターネットの技術的側面より、寧ろコンテンツ(内容)の充実化、整備が先決であるという考え方が伺えます。
今から3年前(平成12年度)から文部科学省は、学校教育に対しコンピュータを通じて情報教育の充実を図り、情報教育推進のための環境整備を行ってきました。確かに学校環境内での推進は急ピッチで進んできましたが、上記のアンケート結果を見るように、社会全体として見ると目に見えて充実してきたとは言いがたい現状です。ネットワーク構築やPCの普及が充足されたことでIT推進事業の荷がおりたとは決して考えて欲しくはないものです。
情報教育を推進していく一方で忘れてはならないのは、インターネットを子どもの教育には有効とは考えない意見があったように、インターネットが及ぼす教育に対するマイナスの部分です。例えば、情報化の進展や子どもの生活世界への情報機器の浸透が、自然体験の不足、人間関係の希薄化、道徳性の欠如など、子どもの心身の発達にネガティブな影響を与えるという懸念は否定できません。このことから当然の考え方として導かれるのは、インターネット上だけでは対応しきれない部分は、インターネット上以外の現場での教育も不可欠というものです。
これからインターネット上での教育をより有効なものとし、拡充・整備していくためには、「インターネットを通じてどういったことを学ぶ(学べる)のか」、「インターネット上の教育と現場での教育をどのようにミックスするか」といった観点での検討が必要なのではないでしょうか。
佐藤啓二
|