●リナックス事始
オープンソースのリナックスを勉強しながら、子どもたちの教育のためにコンピューターをどういかすのか、どう対面していくのかを考えるべきを考える
▼2004年12月11日掲載
それがぼくには楽しかったから  その6
 生き残り、繁栄していくには、できるだけよい製品を作ることだ。それでも生き残り、繁栄していけないのなら、生き残っちゃいけないってことなのだろう。いい車を作れないなら、一九七〇年代にアメリカ自動車産業がたどったように、岩のように崖を転がり落ちるだけだ。成功の秘訣はいい品質を維持することと人々が望むものを提供すること。人々を支配すようとすることじゃない。
 問題は、個人や企業が、しばしば欲望に従って行動する点にある。長い目で見たら、そんな行動は必ず負けにつながるのにね。欲望から生まれた決定は、すべてを支配したいという意思に満ちていて、どこかに偏っている。それは近視眼的な、よくない決定で、先々、災害や、それに近いものを招き寄せてしまう。
 すぐに思い浮かぶ例としては、ヨーロッパで社会現象にもなった携帯電話テクノロジーの施行がある。この例では、アメリカは敗北を喫したわけだ。アメリカの諸企業は、それぞれ独自の規格を使うことで市場をコントロールしようとした。一方のヨーロッパ企業は、GSMという一つの規格で統一することにし、各企業は最良の製品、最良のサービスで競争することを選んだ。アメリカ企業はおくれをとり、みずからの規格に足を引っぱられることになった。共通の規格に支えられた市場があったので、ヨーロッパの企業はブームを分け合うことができたのだ。だからこそ、携帯電話を使ってテストのカンニングができる、とイリノイ州の子供たちが耳にする何年も前から、プラハの子供たちは携帯でメールのやり取りをしていたのだ。
 もし、知識や技術を支配することで金儲けをしようとするのなら、結局はうまくいかないだろう。それは独裁的だし、歴史を振り返れば、悪い結果しか見られない。
 たとえば、一八〇〇年代、USウェストは農場向けの水源を支配した。水をけちって、法外な値段をつけたわけだ。誰かが、他のどこからか水を運び込む方法を考えつけば、それはみんなのためになる。あるいは、遠くからパイプで水を運んで来られるようなテクノロジーを開発するのでもいい。そうなるとUSウェストが握っていた市場は崩壊する。状況が変化すれば、いま手にしているものは壊れ、あとには何も残らない。こういうことはしょっちゅう起こっているっていうのに、みんながまだそれに気づいていないのは驚くべきことだ。
 
                       ――つづく
         「それがぼくには楽しかったから」
             リーナス・トーバルズ(Linux開発者)
             デイビッド・ダイヤモンド   共著 より
過去の掲載
それがぼくには楽しかったから その5 2004年 9月20日掲載
それがぼくには楽しかったから その4 2004年 6月13日掲載
それがぼくには楽しかったから その3 2004年 3月20日掲載
それがぼくには楽しかったから その2 2003年12月20日掲載
それがぼくには楽しかったから その1 2003年 5月20日掲載
オープンソースワールド 2003年 3月10日掲載
ある革命に貼付された付箋(ポストイット) 2003年 2月20日掲載
Linuxの歴史 2003年 1月30日掲載
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