●授業を創る
教えるとはどういうことか、良い授業とは何か。学習理論の歴史を振り返りながら今の授業に生かすコツをわかりやすく解説。これを読めば授業が変わる。

▼2001年4月11日掲載
「ポートフォリオ学習と評価@」
▼「ポートフォリオ学習」ご存知ですか。聞き慣れない言葉だが、総合的な学習と積極的に取り組んでいる学校で、取り入れている学習方式である。「ポートフォリオ」と聞いて、最初はマーケットで資産運用に使う金儲け関連の用語かなとも考えたが、教育の中でも使われていたのだ。どんな学習なのだろうか。この実践研究に取り組んでいる加須市立加須南小学校(丸山綱男校長)を訪れたことがある。その実践研究の中から、ポートフォリオ学習を探ってみる。

▼「総合的な学習には評価がない」という話が、まことしやかに学校現場に浸透している。そんなことはありませんよと言うと、先生方がムキになって反論してくる。そもそも、総合的な学習の授業にも立派に本時授業としての目標がある。目標が在れば、その目標に到達したかどうか確かめ、外れていたら修正をする事は極めて当たり前の事である。評価は立派に存在する。しかしである。従来のペーパーテストにおける点数のような評価はしないし、それが本意ではない。そこで考えられたのが、ポートフォリオによる評価で学習を進める授業のことである。では、ポートフォリオとは何だろうか。

▼ポートフォリオは、加須南小の研究資料によれば、「紙ばさみ式の画集・画帳」「画家などの代表作品選集」「有価証券明細書」等を表すが、教育界で用いる時は、「学習過程における個人の技能・考え・興味・成果などの証拠を入れておくための入れ物」の意味として用いられている。ポートフォリオ学習は、「児童が課題を選び、教師と話し合いながら提出物を作り、ファイルしていく学習」とある。

▼ポートフォリオは子ども達の学習のプロセスで作成されたものである。
一人一人が個性的に作り出した学習の成果としての提出物等をファイルしたもので、それは、文字であったり、絵や写真、グラフ、音声と様々な表現がある。このポートフォリオを学習に生かすわけだが、これを点数で評価する事は難しい。他人と相対的に判断する事も馴染まない。この辺がペーパーテスト・オンリーで評価する学習からの脱却に取り上げられたと言えるのだろう。

▼ポートフォリオ学習は、プロセスを重視する学習と見ることができる。前回、前々回に取り上げた形成的な評価重視の学習と、気持ちは一致している。この観点で教育の歴史を振り返ると、ピアジェとかデューイの思想にたどり着く。アメリカでは、1930年代にポートフォリオ学習が見られるという。

▼自ら課題を見つけとか、解決していく力とか言うが、授業を創る上で、暗中模索している先生にとって、ポートフォリオ学習は大きな示唆を与えてくれる。難しい理屈よりも、子ども達一人一人にファイルを持たせ、毎時の学習成果(メモ・実験記録・作品等々)をファイルすることから始まる。ノートを通じての指導、レポートも立派なポートフォリオと言うなら、何も新しい事ではない。その通りである。しかし、今何故ポートフォリオなのだろうか。学習成果をファイルする事だけが本質ではないし、何をどのように集め、どう評価し、一人一人に学習を成立させていくかがポートフォリオ学習で、総合的な学習を進めていくのに効果的であると、話題になっているのだ。それにしても、『ポートフォリオ』の名前がどうも。 (T)
過去の掲載
「授業の良し悪しを明確に」 (2001年3月13日掲載)
「楽しい授業を求めて」 (2001年2月5日掲載)
「仮説実験授業を振り返る」 (2000年12月20日掲載)
「授業を設計する」の考え (2000年11月27日掲載)
「良い授業のイメージ」 (2000年10月30日掲載)
「授業を創る先人の知恵 『生活単元学習』 (2000年9月22日掲載)
「いつかきた道」ではなく「はじめての道」切り拓け (2000年9月5日掲載)
「いい授業はいいイメージから・自分なりのイメージづくりを」 (2000年8月25日掲載)
これからの授業を考える (2000年8月9日掲載)
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